ラムダ株 (Lambda variant) (7)
ANNNewsCHより。南米ペルーでデルタ株が流行しない理由をラムダ株との関連から説明されていた。ツカヤマ教授の説明で重要と思われることを赤文字にしたが、ラムダ株がどういったものかわかるかもしれない。
わずか2%・・・南米ペルーでデルタ株が拡大しない理由 (2021/8/29)
テキストの説明文もあったので、それを以下に記す。
新型コロナウイルス、世界各国で感染が広がる中、南米では感染が減少しています。人口あたりの死者数が世界最悪となったペルーでも、感染者数はピーク時の1割程度に。一体何が起きているのでしょうか。
“世界最悪の死者数”だったペルーは今
コロナにより国民の150人に1人を失ったペルー。感染者数が急増し、医療は崩壊、人口当たりの死者数は世界最悪になりました。しかし、今は・・・
(リマ市長)「ご自身の意思で結婚しますか」
これは200組のカップルが参加した合同結婚式。盛大なパーティーが行われていました。
ペルーは今、普段の生活を取り戻しつつあります。
(参加した新郎)「以前に私は(コロナで)死にそうになりましたが、彼女と人生を歩むことを決めました。」
外出禁止も徐々に解除され、街には多くの人が行きかっています。
ペルーでの生活をSNSで発信している鈴木涼子さん。
(鈴木涼子さん)「(感染者の)数としては減ってきているし、病院もずいぶん余裕がでてきたというのは肌で感じてます。」
デルタ株の蔓延で世界的に感染者数が急増する中、日常を取り戻しつつあるペルー。一体何が起きているのでしょうか?
(鈴木涼子さん)「デルタ株が入っていないというのも関係していると思います。それもあって今落ち着いている。まだリマには入ってきてないですし。」
感染者の90%以上がデルタ株に置き換わった日本とは違い、実は、ペルーではいまだ2%ほどにとどまっているのです。
専門家はデルタ株が拡大しなかった理由について、こう指摘します。
(カジェタノ・エレディア大学 パブロ・ツカヤマ教授)「南米では南米独自の変異株が出現しました。はじめにブラジルのガンマ株、次にペルーのラムダ株。これらがデルタ株の侵入を拒んだのです。」
こう話すのは世界ではじめてラムダ株を発見した日系ペルー人のツカヤマ教授です。
ツカヤマ教授は南米全土に広がったラムダ株が、デルタ株と同等かそれ以上の感染力を持つため、置き換わりが起きなかったのではないかと話します。
ラムダ株とはペルーで発見された変異型で、感染力が強く、ワクチンの効果も下がる可能性があると指摘されています。
このラムダ株の影響で、ペルーでは感染が激増、全人口の約0.6%にあたる、20万人を失うという未曽有の事態を引き起こしたのです。
「ワクチンと自然感染」で集団免疫獲得か
政府の専門会議のメンバー、ファン・モア教授は別の可能性を指摘しています。
(ファン・モア教授)「集団免疫が十分な量に達したことでペルーの感染減少につながった可能性が現時点では考えられます。ペルーのワクチン接種率は30%以下、これはかなり低い数字です。この数字にすでに感染した人の数字を足せば集団免疫ができあがった可能性があります。」
ペルーの保健局などが行った調査によると、一部の地域ではすでに7割の人が抗体を持っていたといいます。
ペルーだけではありません。南米ではコロナを軽視したブラジルの“ノーガード戦法”など、政府の不十分な対策や、後手に回った対応で多くの感染者と死者をだし、免疫を獲得している可能性があるといいます。
(パブロ・ツカヤマ教授)「政府に対する信頼度は低い。政府が我々を守ってくれないなら自分で自分を守るしかない。」
自分の身は自分で守る―。そんな国民の意識が垣間見えます。
街の人はー。
Q.いつも消毒しているの?
「いろいろなものを消毒するためです」
「(政府は)もっと多くの対策をするべきです」
「(フェイスシールドを着けるのは)ウイルスから身を守るのに安全性が増すからです」
「不満が1つあります。あらゆる規制を解除し始めている。まだ感染を抑え込めていない。(政府は)真実を伝えていない。私たちをだましている」
“政府には頼れない”と一人一人の感染症に対する意識が飛躍的に向上、感染者数が減少した理由の一つとみられています。
日系ペルー人の、ツカヤマ教授は日本にこう警鐘を鳴らします。
(パブロ・ツカヤマ教授)「デルタ株のような感染力の強い変異株について、必要とされるワクチン接種率は去年言われていた70%から75%ではありません。現在では90%から95%と言われています。でもその数字は不可能でしょう。政府はワクチン接種を促すだけではダメです。さらに対策を練るべきです。」
医学分野のプレプリントサービスmedRxivにラムダ株の出現について掲載されていた。
概要(DeepL翻訳)
南米で新たなSARS-CoV-2の系統(C.37)が出現したことを報告する。C.37は、スパイク遺伝子に7つの非同義変異(Δ247-253、G75V、T76I、L452Q、F490S、T859N)とORF1a遺伝子の欠失(Δ3675-3677)があり、VOC(Variant of concern)であるα、β、γにも見られるものである。2020年12月下旬にペルーのリマで最初に報告され、2021年4月にはペルーの公開ゲノムの97%を占めるようになった。チリとアルゼンチンでも拡大しており、コロンビア、エクアドル、メキシコ、米国、ドイツ、イスラエルでも往来感染の証拠がある。2021年6月15日、世界保健機関はC.37をVariant of Interest(VOI)Lambdaに指定した。
ラムダ株 (Lambda variant) (6)
Forbsの記事でラムダ株についてDr.William A. Haseltineが日本の研究者がbioRxivに発表したプレプリントをもとに解説していた記事を見つけた。ラムダ株の情報はまだ限定的だが、日増しに多くなってきている。アメリカは南米に近いこともありデルタ株で大変な状況でありながらも警戒しているようだ。
DeepLで翻訳した内容を下に示す。
南米を震撼させている「ラムダ変異株」に注目せよ
SARS-CoV-2のラムダ型にもっと注目すべき時が来ている。デルタ亜型がアジア、ヨーロッパ、米国の地域社会を荒廃させている中、もう1つの注目すべき亜型であるラムダ亜型が南米で急速に広がっています。
ラムダ型(C.37)は、早くも2020年8月にペルーで初めて確認されました。当初、ラムダの感染は比較的まれでした。しかし、ここ数カ月の間に、アルゼンチン、チリ、コロンビアでは、Lambdaが主流の亜種となっています。米国では、ほとんどの州でラムダが確認されていますが、まだ普及していません。現在、Lambdaは感染者全体の1%未満ですが、ラテンアメリカでの動向を考えると、今後の動向が注目されます。
ラムダの変異を理解し、その変異が伝染性、病原性、免疫逃避、病原性などのウイルス学的特徴にどのように対応しているかを知ることは、最終的な広がりに備えるのに役立つかもしれません。私たちは以前、ラムダ・バリアントの変異について詳しく説明し、懸念している理由を説明しました。 Kimuraらによる最近の研究では、Lambda Spike (S)タンパク質が調査され、特定の変異のウイルス学的効果についてコメントされていますが、具体的にはT76I、L452Q、246位から253位までの7アミノ酸の欠失です。
木村らは、Sタンパク質の各変異の感染性への寄与を評価するために、これらの変異を単独および組み合わせて導入した。 アミノ酸の変化の一つであるG75Vでは、感染力が低下した。逆に、G75VにT76Iを加えた場合は、G75Vのみによる低下をT76Iが補うことがわかった。(図1)。)
また、L452QとF490Sの組み合わせでも同様の効果が見られた。F490Sでは感染力がわずかに低下したが、L452Qとの組み合わせでは感染力が向上した。研究者らは、Lambda変異体の感染力が著しく高いのは、T76IとL452Qの変異が大きく影響していると結論づけている。LambdaとDeltaの直接比較はまだ広く行われていませんが、疫学的には、Lambdaは、第2波を引き起こしたD614G変異体や、第3波を引き起こしたAlpha変異体よりもはるかに感染力が高いと考えられます。
次に、研究者たちは、ファイザー社のmRNAワクチンに対する突然変異のテストを行いました。下の図に示すように、246〜253位の7アミノ酸欠失、L452Q、F490Sのすべてが中和逃避に寄与しています(図2)。特に、L452QとF490Sは、それぞれ単独では1.22倍から1.38倍の効果で中和から逃れ、タンデムでは1.62倍の効果で中和から逃れることができました。N末端ドメインに特異的なモノクローナル抗体(4A8)による中和を阻害するLambdaの変異は、ドメイン内に存在する246-253変異のみである(図3)。
以下の図4は、感染性と、ファイザー社のワクチン由来の抗体およびNAbクローン4A8による中和に対する、ラムダ・スパイク・タンパクの各変異の寄与をエレガントにまとめたものです。
Kimura et al.は、Lambdaがもたらす危険性の一部を理解するための貴重な貢献である。Sタンパク質だけを解析しても、Lambda変異体の可能性を完全に論じることはできないだろう。Lambdaは、オリジナルのWuhan株と比べて、23のヌクレオチドの変化と18のアミノ酸の変化で異なっています。16塩基の変異と11アミノ酸の変異が、スパイクタンパク質をコードするS遺伝子の外側にある(図5)。これらの変化の影響は、感染初期に複製を強化し、自然免疫および適応免疫反応のダウンレギュレーションを改善するラムダの能力の変化によって緩和される可能性がある。このような変化は、組織培養では明らかにならないと思われる。
メイヨー・クリニックのワクチン研究グループのGregory Poland博士は、「ある変異体が同定され、集団の中で急速に広がる能力を示したときは、いつでも心配しなければなりません」と指摘しています。南米におけるCovid-19の疫学は、デルタに加えてラムダが米国で広く普及した場合に予想されることを教えてくれます。我々は二重の猛攻撃に備えるよう警告されているのだ。
追記:ブラジルではデルタとガンマが主流であり、ラムダは主流ではない。Federico Gueli氏に訂正していただきました。
吐く息を可視化する技術ってスゴイ!
高感度高解像度赤外線カメラで二酸化炭素を検出する原理で
新型コロナウイルス感染症で、エアロゾルによる感染リスクを下げることを意識していて、YouTubeを調べたら、以下の動画に出会うことができた。カメラの性能とレンズの性能が非常に良いことが伺える。
NIMS (National Institute for Materials Science 国立研究開発法人物質・材料研究機構)の技術の一端を伺えるが、吐く息をこんなにまで可視化することができるのには感嘆した。
高感度高解像度の赤外線カメラで、吐く息の二酸化炭素 (CO2)の吸光特性を調べることによって、その流れが可視化できるようだ。
二酸化炭素の赤外線吸光波長は4.2umとされている。
吸光の程度によって空気の流れに濃淡が現れるということだそうだ。なお、吐く息には4%程の二酸化炭素が含まれているとネットでは多く聞かれる。「人の呼気中のCO2濃度は運動量とともに増加し、安静時の約1%から重作業時の9%まで変化します。」
不織布マスク着用(右)とそうでない場合とでは呼気の流れが異なることがよくわかる。
ここで注意しないといけないのは、呼気の流れであることで、
ウイルス(SARS-CoV-2)を直接とらえていることではないことだ。
このYouTubeを視聴して、気流がどういう軌跡をたどるのかがよくわかったし、エアロゾル感染対策で換気に十分気を付けることが大事だということがよく理解できた。
半導体不足 (2)
デジタルアイソレータをやむなく変更した
開発を進めて、試作基板を作成するために、回路図から生成されたネットリストと部品表をいつも発注している基板屋さんに提出する。半導体不足の影響で、部品変更が余儀なくされた。デジタルアイソレータという入出力間の信号を絶縁して通信させるための阻止。。
絶縁にはこれまではフォトカプラを使っていたけれど、SPI通信を5MHz程度のクロックで行うため、早い素子がいいなということで最近使い始めた。別の試作品には、ADuM2401 (Analog Devices) を使っていたが、半年前はDigiKeyで普通に購入できてた。私は、Si8641BD (Silicon Lab)をコストパフォーマンスから選定していたが、これが当面入手できないということで、ISO6741 (Texas Instruments) に変更した。
基板屋さんに提出した時点ではまだ在庫があったのに、基板屋さんでアートワークを進めたり部品を手配してもらっているときに無いということで、Maximとかほかのメーカーのものも当たってみた。かろうじて、ACML-7410 (Broadcom)がまだ入手できそうだったのでひとまずこれにしてひとまず先に進めた。使ったことが無い品番なので、一抹の不安があるけれど、こういった状況だから仕方がない。
昔使ったことがある部品は現在いくらで購入できるか
ふと思い出したことがあって、20年ほど前に小ロット製品を製造するために使っていた部品が今いくらで購入できるかを調べてみた。MAX525BCPP (Maxim)という12ビットの4チャンネルDCコンバータである。当時は1個2,000円程度だったと記憶していた。今、Digikeyで調べてみると1個3,500円程度になっていた。
足のあるPDIPパッケージの部品はほとんど使わなくなったが、これじゃないと困るという状況であれば、価格が高くなろうが入手できればありがたいという風になるだろうなとも思ったりした。
久々に文字だけになったが、これはこれで書き残しておこう。
防音ネジ「Sound Screw」
高校の同級生が教えてくれた。すごい構造をしたネジだなと感心した。
このネジを作ってくれる工場を探しているとのことで、商品化はまだみたい。
仕事で取引があるネジやさんに教えてみようと思った。
ただ、どうやって何を固定するのかがいまいちピンとわからないけれど、このネジと石膏ボードで音が半分以下になるのであればそれなりにいいものではないだろうか。
ラムダ株 (Lambda variant) (5)
ここのところ、ラムダ株は情報がいろいろヒットするようになってきた。今回で5回目ですが、当方医学系知識は皆無なので、その点ご了承を。ちょっとはお勉強していますが、膨大すぎておなかいっぱいです。
CSIRO (Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation) オーストラリア連邦科学産業研究機構では、以下の情報が掲載されていた(DeepL翻訳)。2021/7/6
- CSIROの科学者でCOVID-19プロジェクトのリーダーであるSeshadri Vasan博士は、次のように述べています。
- 「2021年7月7日の時点で、SARS-CoV-2ウイルスのゲノム配列の世界最大のデータベースであるGISAIDには、合計222万件のエントリーがあり、そのうち2,235件がラムダバリアントを構成しています。
- 「GISAIDに登録されている2,235個のラムダ型のゲノム配列のうち、3個はペルーのネコから分離されたもので、残りの2,232個はヒトから分離されたものである。このバリアントは、オーストラリアを含む29カ国に広がっており、2021年4月3日にシドニーの28歳の男性から分離されたラムダバリアントを記録しました。
- 「感染した場所の多くは南米で、主にペルーですが、最初のサンプル採取は2020年11月8日のアルゼンチンのようです。
- 「ラムダ型には様々な変異がありますが、その多くは免疫回避、つまりウイルスが人の免疫反応を回避するためのもののようです。ウイルスのスパイクタンパク質にある重要な変異のうち6つは、3つの置換変異が近接して「ペア」になっている。
- スパイク以外では、1つの変異(「nsp6」の106-108の欠失)は、懸念されているアルファ、ベータ、ガンマの各変異体に共通している。興味深いことに、L452Q置換は中程度の急激な変化であり、懸念されるDelta変異体と関心のあるEpsilon変異体の両方で同様のもの(L452R置換)に遭遇します。
- "現段階では、ラムダバリアントは間違いなく構造的に興味深いものですが、懸念されるバリアントであるかどうかを判断するためには、感染性やワクチンへの影響に関するさらなる疫学的証拠や専門家による研究が必要です。"
PHEの報告書より
Public Health Englandの報告書からの有病率を直近1か月みてみると、8/6の報告書では日本が初めて色付けされた。デルタ株が蔓延でまだラムダ株が拡大する兆候は認められないようだ。
ラムダ株 (Lambda variant) (4)
オリンピック最凶株だどいわれていたが、今朝のニュースを確認したら、上陸を確認したとのこと。
現在の懸念はもっぱらデルタ株である。ペルーではデルタ株ではなくラムダ株の猛威という状況だった。ペルーはあれから新規感染者数の統計を見る限り、猛威を振るっている状況とは考えにくい。
日本で確認されたラムダ。封じ込めれば、新たな驚異の時間を稼げるかもしれない。
ラムダ株では、情報が限られているが、現在で28ヵ国で確認されている。
1か月前はラムダ株の方法が殆どなかったが、ここ最近はヒットする。
Tennesseanでは、3つの要約をしている。
- 米国ではCOVID-19の亜種としてデルタ亜種が主流となっており、ラムダの脅威が迫っています。
- ラムダ型は感染力が強く、COVID-19ワクチンへの耐性も高いことが研究で明らかになっています。
- WHOは、ラムダ変異株を "懸念される変異株 "に対して "関心のある変異株 "としてフラグを立てた
アルジャジーラの地図からも、米国で感染が確認されている。米国は日本と同じく現時点ではデルタ株が主流であり、デルタ株がほかの変異株に移り変わるタイミングを確認していくことが手掛かりになるかもしれない。それであれば、感染がピークアウトしたイギリス、インドの状況を見ていくことも手掛かりになるかもと思った次第である。